歯周病は様々な病気の原因に?心臓病、糖尿病、認知症など

歯周病は、歯肉の炎症や歯周ポケットの深化、歯周組織の破壊などを引き起こす病気です。近年の研究により、歯周病と全身の健康との関連が明らかになってきており、歯周病が様々な病気(心臓病、糖尿病、認知症、早産や低体重児出産など)の原因やリスク要因になることが示唆されています。以下は、その研究結果を要約したものです。

歯周病と心臓病の関係性

歯周病と心臓病の関連性についての研究が多く行われています。歯周病が進行すると、炎症反応が全身に広がり、動脈硬化のリスクが高まることが示されています。(参考: Lockhart, P. B., Bolger, A. F., Papapanou, P. N., Osinbowale, O., Trevisan, M., Levison, M. E., ... & Baddour, L. M. (2012). Periodontal disease and atherosclerotic vascular disease: does the evidence support an independent association? A scientific statement from the American Heart Association. Circulation, 125(20), 2520-2544)

糖尿病と糖尿病の関係性

歯周病と糖尿病の関係は双方向性があるとされています。歯周病が糖尿病のコントロールを難しくする一方で、糖尿病患者は歯周病になりやすいことが報告されています。(参考: Chapple, I. L., & Genco, R. (2013). Diabetes and periodontal diseases: consensus report of the Joint EFP/AAP Workshop on Periodontitis and Systemic Diseases. Journal of Clinical Periodontology, 40, S106-S112)

歯周病と早産・低体重児出産の関係性

歯周病が妊娠中の女性において、早産や低体重児出産のリスクを高める可能性が示唆されています。歯周病による炎症反応が、子宮内の炎症を引き起こし、早産や低体重児出産につながると考えられています。(参考: Offenbacher, S., Lieff, S., Boggess, K. A., Murtha, A. P., Madianos, P. N., Champagne, C. M. E., ... & Beck, J. D. (2001). Maternal periodontitis and prematurity. Part I: Obstetric outcome of prematurity and growth restriction. Annals of periodontology, 6(1),

164-174)

歯周病と認知症の関係性

歯周病と認知症の関係についての研究も行われており、歯周病が認知症のリスクを増加させる可能性が示されています。炎症反応や細菌の感染が神経炎症やアルツハイマー型認知症の原因となるタウタンパク質やアミロイドβの蓄積を促進すると考えられています(参考: Kamer, A. R., Pirraglia, E., Tsui, W., Rusinek, H., Vallabhajosula, S., Mosconi, L., ... & de Leon, M. J. (2015). Periodontal disease associates with higher brain amyloid load in normal elderly. Neurobiology of Aging, 36(2), 627-633)。

まとめ

これらの研究結果から、歯周病が全身の健康に悪影響を与える可能性があることが示唆されています。したがって、歯周病の予防や早期治療が、全身の健康維持にも重要であると言えます。適切な歯磨きやデンタルフロスの使用、定期的な歯科検診など、口腔衛生を維持することが大切です。

 

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